東洋紡株式会社は、長期ビジョン「サステナブル・ビジョン2030」を2022年5月に発表いたしました。このたび、「サステナブル・ビジョン2030」の後半に位置づける「2030中期経営計画(2026~2030年度)」を策定いたしましたのでお知らせします。

 プレゼンテーション資料は右記リンクよりご覧いただけます。→ 中期経営計画説明会資料

2025中期経営計画(2022~2025年度)のレビュー

 2025中期経営計画(2022~2025年度)は、「サステナブル・ビジョン2030」に掲げる目標達成に向けた通過点として、「つくりかえる・仕込む4年」と位置づけ、取り組んできました。安全・防災、品質などの基盤整備を進め、並行して積極的な設備投資を実行してきましたが、事業ポートフォリオの組替えの遅れ、環境変化への対応遅れ、大型成長投資の立上げ遅れにより、稼ぐ力が低下しました。中期経営計画期間中に、価値に見合ったプライシングの徹底、全社プロジェクトによる経費削減を推進し、後半は回復しましたが、営業利益、ROE、ROICなどの財務指標は目標未達となる見通しです。

2025中期経営計画の振り返りと新中計への反映

振り返り

● 安全・防災、品質など基盤強化

● 積極的な設備投資の実行も
   成長投資の立上げ遅れ

● 東洋紡エムシー:立上げ、基盤整備

● 要改善3事業の収益性は改善

● 財務体質悪化

新中計への反映

● 事業ポートフォリオ再整理
● 成長投資の成果実現
● 東洋紡エムシー:改革成果、成長策
● 課題事業対策
● 資産効率改善、運転資本管理徹底
● ワンチーム経営

ありたい姿

 当社グループは、企業理念体系「TOYOBO PVVs」において、「私たちは、素材 + サイエンスで人と地球に求められるソリューションを創造し続けるグループになります」というビジョンを掲げています。その実現に向けて、新たに「価値創造ストーリー」、およびブランドスローガン「いのちと世界の、役に立て。」を策定しました。「先端材料」「ヘルスケア」「環境・エネルギー」を重点領域とし、人々の暮らしと地球環境を「ゆたか」にしていきます。

ビジョン

素材+サイエンスで人と地球に求められるソリューションを創造し続ける

重点領域:先端材料、ヘルスケア、環境・エネルギー

価値創造ストーリー

● 『順理則裕』(なすべきことをなし、ゆたかにする)のもと

● 高分子、バイオのコア技術をベースに、柔軟性と変革のDNA、粘り強さ、真摯さの企業文化により、

 社会課題の解決に貢献し続ける

● お客様との共創、およびパートナーとの協業を通じて、多様な素材を目的性能に最適化することで、

 顧客価値を創造し、人々の暮らしと地球環境を「ゆたか」にする。そして、私たち(人・企業)も

 成長・発展し続ける

ブランドスローガン

2030中期経営計画(2026~2030年度)〜成長投資・仕込みの成果を実現する〜

経営目標と3つの施策

 「2030中期経営計画(2026~2030年度)」は、「サステナブル・ビジョン2030」の後半と位置づけ、財務体質の改善と利益成長を両立させ、2030年度までにROE8%超を目指します。具体的には、「安全・防災、品質、コンプライアンスの徹底」を大前提とし、「事業ポートフォリオ改革」「未来への布石」「基盤づくり・強化」の3つの施策を進めます。

経営目標|額から率へ

* 当期純利益÷期首・期末平均自己資本 ** NOPAT÷ (有利子負債+純資産)

施策1: 事業ポートフォリオ改革

 「収益性と将来性」の2軸、「重点・維持改善・育成・課題」の4象限に各事業を層別し、各々の位置づけに応じた事業運営を行います。2028年度には、「重点」に位置づけられる事業を、工業用フィルムに加えて、バイオ、メディカル、環境・機能材の電子材料とし、「重点」事業の使用資本比率を27%から50%超とする計画です。

                ● 重点:収益拡大のため積極的に資源を投下

                ● 維持改善:投資を抑制しつつ、収益最大化
                ● 育成:競争力を強化し、収益性を高める  

                ● 課題:収益性改善

収益性:事業別ROA=営業利益 ÷ 事業別使用資本 (ハードルレート 8.0%目安)

将来性:今後の市場成長率、市場規模、市場シェアを指標化

事業層 2025年度見通し 事業層 2028年度計画*
使用資本比率 事業別ROA 事業 使用資本比率 事業別ROA 事業
重点 27% 11% 工業用フィルム 重点 55% 11% 工業用フィルム
環境・機能材(電材)
バイオ
メディカル
維持改善 23% 12% 環境・機能材 維持改善 40% 10% 環境・機能材
包装用フィルム
繊維
育成 15% 3% バイオ
メディカル
育成 - - ・溶液製膜
・医薬製造プロセス部材
・バイオものづくり
課題 35% 2% 包装用フィルム
不織布マテリアル
繊維
エアバッグ
医薬
課題 5% 4% エアバッグ
医薬

*インオーガニック施策、カーブアウト含まず

施策2: 未来への布石

「先端材料」「ヘルスケア」「環境・エネルギー」の価値提供領域の有力テーマに対して資源をシフトしていきます。

    【方針】  ● 3つの価値提供領域への資源シフト、事業化加速

         ● マーケティング機能強化(技術開発と市場・顧客開発の融合)

    【資源配置】新の創出・基盤機技術:20%、新製品開発:65%、事業サポート:15%

先端材料 合成・接着技術、表面加工・製膜技術を用いた先端素材(フィルム、樹脂)
● 高耐熱性ポリイミドフィルム “ゼノマックス”
● 低誘電材料 “ハードレン“
● 電子材料接着剤 “Vitrimer”*
ヘルスケア 紡糸・製膜・膜分離技術、バイオものづくり技術を生かした高付加価値領域への展開
● 急性血液浄化膜 “リムサイト”
● エクソソーム精製ろ過膜 “CATAROSEV”
● 医薬品製造プロセス材料(mRNA医薬品用酵素、抗体医薬品製造プロセス膜)
環境・エネルギー 膜分離、高分子・製膜技術の活用、バイオ技術×高分子の融合技術を活用したリサイクル原料
● バイオものづくり(天然由来界面活性剤MEL、機能性バイオ原料)
● PFAS除去(“K-Filter”、繊維状活性炭吸着)
● グリーンプラ(100%バイオ樹脂PEF、“レナシャイン”、“カミシャインNEO” )

*”Vitrimer”はFONDS ESPCI PARISの登録商標です

施策3: 基盤づくり・強化

 経営戦略と連動した人材戦略、TX(Toyobo-Transformation)の推進、ロードマップに沿った安全・防災、品質の活動推進、リスクマネジメントの強化など、経営基盤の強化を図ります。TXでは、経営チームのリーダシップのもと、「ヤメル、まとめる、つなぐ」の基本方針を通じて付加価値革命を実践し、サステナブルな企業に変革する諸活動を進めます。

   ● 人的資本

   ● TX(Toyobo-Transformation)
   ● 安全・防災、品質

   ● リスクマネジメント、ガバナンス
   ● インフラ整備

主な事業の成長戦略

「フィルム」「ライフサイエンス」「環境・機能材」の各事業の成長戦略は下記の通りです。

フィルム 事業環境 ● 半導体など電子部品用途の成長市場で高機能化が加速
● エネルギー・宇宙など次世代要求の高まり
● 「機能性」 × 「環境対応」×「コスト競争力」の総合戦に
方向性 ● 投資効果の発現、および工業用・包装用の一体運営による持続的成長基盤の構築を図ります
● 半導体、燃料電池、風力発電、太陽電池、エネルギー・宇宙向けの高機能工業用途におけるカテゴリー・リーダーを目指します
● 環境対応・高品質製品へのポートフォリオ改革を進めます
ライフサイエンス 事業環境 ● 高齢化の進展により、慢性疾患の増加と医療需要の拡大
● 中進国を中心にグローバル市場成長が続く  
● 中国市場の成長鈍化・競争激化
方向性 ● QOLの向上に貢献する製品をグローバル展開すると同時に、新規市場(治療領域)への展開を進めます
● 膜技術の血液浄化、医薬品製造プロセス用途などへの展開を加速します
環境・機能材* 事業環境 ● 脱炭素・水資源確保などの社会課題顕在化と、環境規制の更なる厳格化
● デジタル化・EV化を起点とするデータ通信量の急増と、産業構造の急速な転換
方向性 ● 電子材料、環境、モビリティの3つの注力領域に経営資源を集中します
● 海外強化、新規開発、インオーガニック施策の実行と、アライアンスを通じたポートフォリオの改革を加速します

*主に東洋紡エムシー

財務指標

2030中期経営計画の財務指標は下記の通りです。

2024年度
実績
2025年度
見通し
2028年度
計画*****
2030年度
計画*****
売上高(億円) 4,220 4,300 4,700 5,000
営業利益(億円) 167 240 350 450
営業利益率(%) 3.9 5.6 7.4 9.0
EBITDA(億円)* 394 485 640 762
当期純利益(億円) 20 85 140 190
ROE(%)** 1.0 4.3 > 6 > 8
ROIC(%)*** 2.3 3.3 > 4.5 > 6
D/E レシオ(倍) 1.37 1.29 < 1.2
Net Debt / EBITDA倍率 **** 6.1 4.9 < 4.0
設備投資(億円) 432 310 350 315
研究開発費(億円) 143 150 売上高比率 3~4%

* 営業利益+減価償却費(のれんを含む) ** 当期純利益÷期首・期末平均自己資本
*** NOPAT÷ (有利子負債+純資産)  **** (有利子負債‐現預金)<期末>/ EBITDA

*****インオーガニック施策、カーブアウト含まず

(億円)
売上高 営業利益
2025年度
見通し
2028年度
計画
2030年度
計画
2025年度
見通し
2028年度
計画
2030年度
計画
フィルム 1,770 2,100 2,200 145 180 200
ライフサイエンス 360 400 500 10 50 90
環境・機能材 1,110 1,300 1,500 87 130 150
その他 1,060 900 800 ▲ 2 ▲ 10 10
合計 4,300 4,700 5,000 240 350 450

財務戦略

 2025中期経営計画の営業キャッシュ・フローは年平均225億円、それに対し2026~2028年度は467億円に拡大する計画です。
 加えて、設備投資を年平均440億円から年平均350億円に絞り込むことにより、フリー・キャッシュ・フローを増やし財務体質を改善します。

*インオーガニック施策、カーブアウト含まず

 2025中期経営計画の4年間で大型投資はピークアウトし、フィルムの成長投資は一巡しました。2026~2028年度の3年間では、ライフサイエンス、環境・機能材に積極投資していきます。また、インオーガニック施策は機動的に判断、実行します。
 

株主還元方針

 株主さまへの利益還元は、企業にとって最重要事項の一つと認識しています。安定的な配当の継続を基本としつつ、持続性のある利益水準、将来投資のための内部留保、財務体質の改善などを勘案した上で、総還元性向30%を目安としていきます。

企業価値向上に向けて|資本コストを意識した経営

 当社グループは、資本コストを意識した経営を推進しています。 

 2030中期経営計画では、「事業ポートフォリオ改革」「未来への布石」「基盤づくり・強化」の3つの施策を推進し、財務体質の改善と利益成長を両立させ、ROE8%超およびPBR1.0倍超の実現を目指します。そして、これらの取組みを通じて、「サステナブル・ビジョン2030」で掲げる「社会価値と企業価値の両立」を確実に進め、持続的成長を実現してまいります。

過去の中期経営計画

これまでの中期経営計画は下記に掲載しています。