2025中期経営計画(2022~2025年度)

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※2025年5月12日 進捗に関する資料を更新いたしました。最新の内容はこちらをご確認ください。

 東洋紡株式会社は、2022年に創立140周年を迎えました。これを機に、長期ビジョン「サステナブル・ビジョン2030」および「2025中期経営計画(2022~2025年度)」を策定いたしました。
 「サステナブル・ビジョン2030」は、今後の事業環境の変化を想定し、企業理念『順理則裕』(なすべきことをなし、ゆたかにする)を基軸として、当社グループの「2030年のありたい姿」と、「サステナビリティ指標」および「アクションプラン」を示すものです。この長期ビジョンでは、「(社会の)サステナビリティに貢献するサステナブルな会社」の実現をめざすとともに、企業文化の「持続可能な成長(サステナブル・グロース)」への転換を図ります。

 「2025中期経営計画(2022~2025年度)」は、「サステナブル・ビジョン2030」で掲げる目標達成に向けた通過点として、当該期間を「つくりかえる・仕込む4年」と位置づけ、「4つの施策」から成る経営方針のもと「サステナブル・グロース」のための土台作りを図ります。

 4つの施策は、それぞれ具体的なアクションプランへ落とし込み、実行しています。

 このうち、施策2「事業ポートフォリオの組替え」では、収益性と成長性の二軸で各事業を4象限に層別し、各々の位置づけに応じた事業運営を行います。二軸のハードルレートは、使用資本利益率(ROCE)と年平均成長率(CAGR)で設定しています。「安定収益」と「要改善」の位置づけについては、ハードルレートだけでなく、定性情報も含めて見極めます。また、層別事業ごとに対策を検討します。

 「重点拡大事業」のフィルム事業、ライフサイエンス事業は、当社に優位性があり、市場拡大が見込める事業であり、引き続き積極的な投資を実施しています。
 「安定収益事業」の環境・機能材事業は、事業ポートフォリオの第三の柱とすべく、三菱商事株式会社との合弁会社設立により、当社の技術力と三菱商事が持つ幅広い産業知見・ネットワークといった総合力を掛け合わせることで、グローバル市場におけるプレゼンスを向上させるとともに、多様化・複雑化する産業ニーズに応じたソリューションを提供することを目指します。
 「要改善事業」の衣料繊維事業、エアバッグ用基布事業、医薬品製造受託事業については、正常化に向けたマスタープランを着実に進めます。

 なお、包装用フィルム事業と不織布マテリアル事業においては、原燃料価格高騰など、事業環境の変化により収益性が低下しました。そのため、2024年度に、それぞれ重点拡大事業、安定収益事業から、要改善事業に位置づけを変更しました。それぞれに収益性改善に向けた対策を実行しています。

 4つの施策のアクションプランと、2024年度までの進捗は、下記の通りです。

(○:計画通り、▲:遅れ)

アクションプラン

進捗

施策1

安全・防災、品質の徹底

・安全・防災マスタープランの実行 「ゼロ災」
・品質保証マネジメント体制の再構築
・リスクマネジメント体制

○ 2021年度以降、重大インシデント ゼロ
○ 安全・防災体制の整備、各拠点でISO45001取得進展
○ 品質保証体制・仕組みの整備

  エンプラISO9001認証再取得、医薬FDAからのWarning Letter解除

施策2

事業ポートフォリオの組替え

・事業を層別(使用資本利益率と成長性)
 ①重点拡大:成長策提案実行、競争優位強化
 ②安定収益:成長探索 or 維持改善
 ③要改善:あるべき姿に向けたマスタープラン実行

▲ 重点拡大事業:成長投資は計画通り実行も、一部で新設備の立上げ遅れ
○ 安定収益事業:東洋紡エムシー (株) 設立
    経営基盤の強化、仕組み・運営見直し、収益改善
▲ 要改善事業:衣料繊維の黒字化(国内生産拠点集約、3工場→1工場)
    エアバッグ用基布、医薬の赤字縮小・黒字化目途
    包装用フィルム、不織布マテリアルの収益悪化
    → 2024年度より要改善事業へ(ライン休止他、対策中)

施策3

未来への仕込み

・新事業・新技術の創出:環境・バイオ強化、みらいプロPOC
・DX戦略:SFA、MI、スマート工場、新たな稼ぎ方
・カーボンニュートラルへのロードマップ(2050)

○ イノベーション創出の3領域設定。重点テーマで進展
○ レガシーシステムの更新進行中。全社業務改革プロジェクト
○ SBT認定取得、環境データ第三者保証、GXリーグ参画

施策4

土台の再構築

・人材開発・ダイバーシティ推進
・モノづくり現場力

・事業基盤の整備
・ガバナンス・コンプライアンス

・組織風土改革

○ 次世代人材選抜、現場リーダーほか技術者教育の整備 
○ ダイバーシティ推進、人権デュー・デリジェンス推進

○ 事業所・工場インフラ整備・リニューアル
○ グループガバナンス体制、リスクマネジメント体制の強化

○ コンプライアンス体制・研修の整備 
○ 企業理念体系「TOYOBO PVVs」の浸透

 フィルム事業、ライフサイエンス事業、環境・機能材事業の詳細は以下にも掲載しています。

事業ポートフォリオの組替えに関連するニュースリリース

定量目標

 2025中期経営計画では、売上高4,500億円、営業利益350億円、当期純利益150億円を目標としています。
 重要財務指標には、持続的な成長に向けて積極的な投資を促すため、営業利益に減価償却費を加えた「EBITDA」を設定し、資本効率を重視した経営を推進する目的で、投下資本利益率(ROIC)を加え、成長性と効率性の両側面から経営資源の最適な配分に努めます。

 また、社債の発行格付の維持向上等を通じて資金調達の安定性を確保する観点から、有利子負債と自己資本の比率(D/Eレシオ)を重視しています。2025中期経営計画では、将来の成長に向けた先行投資を、時機を逸することなく実施していくため、D/Eレシオの目標を1.2倍未満とし、キャッシュ・フローの創出力と有利子負債とのバランスを失することなくコントロールするため、Net Debt/EBITDA倍率の指標を加え、4倍台を目安にコントロールし、財務状態を安定的に管理していく方針です。しかしながら、経営環境が大きく変化し、事業ポートフォリオの組替えの遅れによる営業キャッシュ・フローの減少に加え、フィルムやライフサイエンスなどの成長事業への大型投資による投資キャッシュ・フローの増加によって有利子負債が増加し、2025年3月末において、D/Eレシオは1.37倍、Net Debt/EBITDA倍率は6.1倍となり、財務状態が悪化しました。

 このような状況を踏まえ、2025年度の見通しを、以下の通りとしています。

 設備投資は、2025中期経営計画策定時(2022年5月)、4年累計2,400億円を計画していましたが、2024年5月に投資案件を見直すことで、1,800億円に圧縮する計画に変更しました。成長投資については、工業用フィルム事業、バイオ事業、メディカル事業への投資は着実に実行する一方、要改善事業に位置付けを変更した包装用フィルムの成長投資を見直しました。つくりかえる投資については、優先順位を精査のうえ見直しを行っています。安全・防災・環境投資については、安全・防災、品質投資は着実に実行し、環境投資は一部2026年度以降へ見送りをしています。

 キャッシュフロー・アロケーションとしては、安全・防災・環境対応を最優先とし、同時に成長事業に積極投資をしていくため、外部からの資金調達が増えます。この増加に対して、D/Eレシオ1.2倍未満、Net Debt/EBITDA倍率4倍台の範囲で外部調達資金を管理する方針としています。
 しかしながら、経営環境が大きく変化し、事業ポートフォリオの組替えの遅れによる営業キャッシュ・フローの減少などの状況を踏まえ、2025中期経営計画期間中のキャッシュフロー・アロケーションを以下のように見直しています。

資本コストや株価を意識した経営

 当社グループでは、現状、PBRが1.0倍を下回る水準にあることを重く受け止めており、資本コストを意識した経営を推進しています。2025中期経営計画では、重要財務指標にROE、ROICを採用しており、「価値に見合ったプライシング」「要改善事業対策」「投資の確実な回収」「投資・経費の絞り込み、コストダウン」「使用資本の圧縮」を推進することにより、グループ全体の収益性、資産効率の改善を進めています。並行して、PERを高めるために、「新の創出」により、成長の具体策や道筋を示し成長期待を高めるとともに、「安全・防災、品質、コンプライアンスの徹底」によりリスクの低減を進めています。これらの取組みを通じて、ROE8%以上、PBR1.0倍以上をめざします。

株主還元の方針

 2025中期経営計画の期間(2022~2025年度)においては、総還元性向30%を目安とします。