
2025年3月期の業績につきまして、ご説明申し上げます。
当連結会計年度(以下、「当年度」といいます。)における当社グループを取り巻く事業環境は、米国では堅調な経済活動が続いたものの、足もとは需要減退の兆しが見られ、先行き不透明感が増してきました。中国では輸出は拡大しましたが、不動産不況や消費低迷の長期化に対する政策の効果は限定的で、景気は足踏み状態が続いています。国内においては、所得環境の改善により個人消費が持ち直したことに加え、インバウンド需要の増加や設備投資の拡大により、景気は緩やかに回復しました。
こうした事業環境のもと、液晶偏光子保護フィルム“コスモシャインSRF”、中東向け特化生地は堅調に推移しました。加えて、包装用フィルム事業、不織布マテリアル事業などの要改善事業において、製品価格の改定や生産体制の見直しなどの対策を進めたことにより、収益性が改善しました。
以上の結果、当年度の売上高は4,220億円と前年度比1.9%の増収、営業利益は167億円と前年度比85.1%の増益、経常利益は106億円と前年度比52.1%の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は20億円と前年度比18.4%の減益となりました。
今後の事業環境につきましては、米国の通商政策の転換によって世界経済の不確実性が高まることが予想されます。
このような中、当社グループにおいては、2025年度経営方針「未来をつくるために稼ぐ力を取り戻す」のもと、「安全・防災、品質、コンプライアンスの徹底」、「価値に見合ったプライシングの徹底」、「要改善事業対策」、「投資の確実な回収と新の創出」、「投資・経費の絞り込み、コストダウン」、「使用資本の圧縮」を進めます。
当社は、株主の皆様への利益還元を最重要事項の一つと認識しています。剰余金の配当に関しては、持続性のある利益水準、将来投資のための内部留保、財務体質の改善などを勘案しつつ、安定的な配当の継続を基本方針としています。2026年3月期の期末配当金につきましては、前期と同様の1株当たり40円を予想しています。
株主および投資家の皆様におかれましては、引き続きご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
2025年5月
東洋紡株式会社
代表取締役社長 兼 社長執行役員
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