株主および投資家の皆様へ

 当社グループの2023年度通期業績および2024年度の通期業績見通しにつきまして、ご説明申し上げます。

 

 当連結会計年度(以下、「当年度」といいます。)における当社グループを取り巻く事業環境は、米国では政策金利が据え置かれる中、堅調な個人消費が経済活動を牽引し景気が拡大しましたが、中国では不動産不況の長期化や消費の低迷により景気が減速しました。国内においては、自動車生産やインバウンド需要の回復により、景気は緩やかに持ち直しました。

 

 こうした事業環境のもと、液晶偏光子保護フィルム“コスモシャインSRF”、リチウムイオン電池セパレータ製造工程で使用されるVOC回収装置は、強い需要に牽引され、それぞれ販売を伸ばしました。一方、包装用フィルムは、需要の回復遅れにより流通在庫の調整が長期化しました。PCR検査用試薬は、新型コロナウイルス感染症の収束に伴い、需要が大幅に減少しました。

 

 以上の結果、当年度の売上高は4,143億円と前年度比3.6%の増収、営業利益は90億円と前年度比10.6%の減益、経常利益は70億円と前年度比5.6%の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は25億円(前年度は親会社株主に帰属する当期純損失7億円)となりました。

 

 2025年3月期の事業環境につきましては、米国では、良好な雇用・所得環境により、景気は引き続き堅調に推移すると予想されますが、中国では、不動産不況の継続と消費回復の弱さから、景気の低迷が長引くリスクがあります。国内では、原燃料の価格動向や為替変動の影響が懸念されますが、内需を中心に景気は緩やかに回復することが見込まれます。

 

 当社グループにおいては、包装用フィルムや電子材料の需要回復が見込まれ、足元では燃料価格が落ち着きを見せていることから、収益性は改善する見通しです。加えて、製品価格の改定、コストダウン、要改善事業対策、成長投資の確実な回収を進め、さらなる収益力の強化を進めてまいります。

 

 このような状況下において、2025年3月期の連結業績は、売上高4,350億円(2024年3月期比207億円増)、営業利益170億円(同80億円増)、経常利益115億円(同45億円増)、親会社株主に帰属する当期純利益26億円(同1億円増)を予想しています。

 

 当社は、株主の皆さまへの利益還元を最重要事項の一つと認識しています。剰余金の配当に関しては、持続性のある利益水準、将来投資のための内部留保、財務体質の改善などを勘案しつつ、安定的な配当の継続を基本方針としております。2025年3月期の期末配当金につきましては、前期と同様の1株当たり40円とする予定です。

 

 株主および投資家の皆様におかれましては、引き続きご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

2024年5月

東洋紡株式会社         
代表取締役社長 兼 社長執行役員