株主および投資家の皆様へ

 2024年度第3四半期の業績および通期業績見通しにつきまして、ご説明申し上げます。

 

 当第3四半期連結累計期間における当社グループを取り巻く事業環境は、米国では、物価上昇が鈍化し政策金利が引き下げられる中、底堅い個人消費に支えられ、経済活動は堅調に推移しました。中国では、輸出は大幅に拡大しましたが、不動産不況の長期化や消費の低迷など内需の不振により、景気は足踏み状態が続いています。国内においては、所得環境の改善により個人消費が持ち直したことに加え、インバウンド需要の増加や設備投資の拡大により、景気は緩やかに回復しました。

 

 こうした事業環境のもと、液晶偏光子保護フィルム“コスモシャインSRF”、中東向け特化生地は堅調に推移しました。加えて、衣料繊維事業、エアバッグ用基布事業、医薬品製造受託事業などの要改善事業において、製品価格の改定や生産体制の見直しなどの対策が進捗し、収益性が改善しました。

 

 以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同期比69億円(2.2%)増の3,142億円となり、営業利益は同52億円(103.8%)増の102億円、経常利益は同31億円(131.0%)増の55億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同9億円(54.2%)減の7億円となりました。

 

 今後、米国の政策転換が世界経済に影響を及ぼし、当社事業環境も影響を受けることが予想されます。当社グループにおいては、経営方針「稼ぐ力を取り戻す」のもと、継続して「価値に見合ったプライシングの徹底」、「要改善事業対策」、「成長投資の確実な回収と新の創出」、「投資、経費の絞り込み、コストダウン」を進めてまいります。具体的には、堅調な需要が続く“コスモシャインSRF”の販売拡大を図るとともに、現在回復基調にある包装用フィルムの収益性改善を進めます。加えて、今後拡大が期待されるセラミックコンデンサ用離型フィルム、診断薬用原料酵素、人工腎臓用中空糸膜においては、生産能力を増強していきます。

 

 このような状況において、2025年3月期の連結業績は、2024年5月に発表しました、売上高4,350億円(2024年3月期比207億円増)、営業利益170億円(同80億円増)、経常利益115億円(同45億円増)、親会社株主に帰属する当期純利益26億円(同1億円増)の予想を据え置くことといたします。

 

 当社は、株主の皆さまへの利益還元を最重要事項の一つと認識しています。剰余金の配当に関しては、持続性のある利益水準、将来投資のための内部留保、財務体質の改善などを勘案しつつ、安定的な配当の継続を基本方針としています。2025年3月期の期末配当金につきましては、現時点の通期業績予想に基づき、前期と同様の1株当たり40円を予想しています。

 

 株主および投資家の皆様におかれましては、引き続きご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

2025年2月

東洋紡株式会社         
代表取締役社長 兼 社長執行役員