株主および投資家の皆様へ

 2023年度第2四半期連結累計期間(2023年4-9月期)の業績および通期業績見通しにつきまして、ご説明申し上げます。

 

 当第2四半期連結累計期間における当社グループを取り巻く事業環境は、米国では金融引き締め政策が続く中、堅調な消費と設備投資に支えられ、経済活動は回復基調を継続しましたが、中国では不動産市場の低迷、消費マインドの回復遅れにより、景気は減速傾向を強めました。一方、国内においては、コロナ禍からの経済の正常化に伴い、景気は緩やかに回復しました。

 

 こうした事業環境のもと、液晶偏光子保護フィルム“コスモシャインSRF”は、強い需要に牽引され販売を大きく伸ばしました。一方、セラミックコンデンサ用離型フィルムや包装用フィルムは、需要回復の遅れにより流通在庫の調整が長引き、PCR検査用試薬は、新型コロナウイルス感染症の収束に伴い需要が大幅に減少しました。加えて、一部の製品においては、原燃料価格高騰に対し製品価格の改定が追いつかず、収益性の改善が遅れました。

 

 以上の結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は前年同期比17億円(0.8%)減の1,994億円となり、営業利益は同55億円(70.1%)減の24億円、経常利益は同57億円(84.7%)減の10億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は、投資有価証券売却益30億円を第2四半期連結会計期間において特別利益に計上したこともあり、同90億円(81.7%)減の20億円となりました。

 

 今後の事業環境につきましては、産油国の生産調整や地政学的リスクの高まりによる原燃料価格の上昇、日米金利差の拡大による円安の進行、中国経済の低迷が、景気回復に影響を及ぼすことが懸念されます。当社グループにおいては、液晶偏光子保護フィルム“コスモシャインSRF”の販売は好調なものの、包装用フィルムやセラミックコンデンサ用離型フィルムの需要回復の遅れや、原燃料価格の高止まりによる収益への影響を踏まえ、2023年3月期の連結業績について、売上高4,100億円(2022年3月期比101億円増)、営業利益100億円(同1億円減)、経常利益60億円(同6億円減)、親会社株主に帰属する当期純利益10億円(同17億円増)と予想します。

 

 当社は、株主の皆さまへの利益還元を最重要事項の一つと認識しています。剰余金の配当に関しては、持続性のある利益水準、将来投資のための内部留保、財務体質の改善などを勘案しつつ、安定的な配当の継続を基本方針としております。2024年3月期の期末配当金につきましては、現時点の通期業績予想に基づき、前期と同様の1株当たり40円とする予定です。

 

 株主および投資家の皆様におかれましては、引き続きご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

2023年11月

東洋紡株式会社         
代表取締役社長 兼 社長執行役員