株主および投資家の皆様へ

昨年9月に当社犬山工場で従業員2名が亡くなるという重大な火災事故が発生いたしました。また、エンジニアリングプラスチックの品質に関する不適切事案も判明しました。亡くなられたお二人のご冥福をお祈りするとともに、株主の皆様をはじめ、関係者の皆様には多大なるご迷惑、ご心配をおかけしておりますことを心からお詫び申しあげます。当社グループは、二度とこのような事故や品質問題を起こさないよう、再発防止策の実行を徹底してまいります。

 

当社グループの2020年度通期業績および2021年度の通期業績見通しにつきまして、ご説明申し上げます。

 

当連結会計年度(以下、「当年度」といいます。)における当社グループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」)の感染拡大により、世界経済が甚大な打撃を受けた中、中国は新型コロナ感染拡大をいち早く抑え込み、経済活動が復調しました。米国および国内では、人の動きの制限、財政・金融政策により、徐々に経済活動が回復してきました。

 

こうした事業環境において当社グループは、新型コロナ感染拡大により、当年度前半を中心に自動車関連製品、衣料繊維が影響を受けました。アクリル繊維事業では、事業用資産の減損損失78億円を計上しました。

一方、新型コロナ感染が拡大する中、世の中のPCR検査需要に応えるため、PCR検査用原料や試薬の

生産量を倍増する体制をとりました。また、セラミックコンデンサ用離型フィルム“コスモピール”は、自動車生産の回復に伴い販売が復調し、

液晶偏光子保護フィルム“コスモシャインSRF”は、新ライン(3号機)による量産を開始し、販売を伸ばしました。

                                                               

以上の結果、当連結会計年度の売上高は前年度比22億円(0.6%)減の3,374億円となり、営業利益は39億円(16.9%)増の267億円、経常利益は同27億円(14.8%)増の207億円、親会社株主に帰属する当期純利益は、アクリル繊維事業の事業用資産の減損損失や犬山工場の火災による損失を特別損失に計上したことなどから同96億円(69.5%)減の42億円となりました。

 

2022年3月期の事業環境につきましては、2021年3月期後半からの感染再拡大に加えて、半導体不足、原燃料価格高騰の影響により、国内を含む世界経済の正常化には時間がかかることが予想されます。ワクチンの普及、それに伴う人の動きの制約解消の時期、および半導体の生産回復状況により、景気回復速度は影響を受けると見込まれます。

 

当社グループにおいては、人の動きの制約による個人消費の回復遅れ、半導体不足による自動車生産の減少、原燃料価格の高騰などが、事業に影響を及ぼすことが懸念されます。

一方、世の中のPCR検査需要に応えるため、PCR検査用試薬、遺伝子検査装置などの提供に尽力してまいります。また、情報機器の強い需要に対応するため、セラミックコンデンサ用離型フィルム“コスモピール”、液晶偏光子保護フィルム“コスモシャインSRF”の増産を計画しています。

 

このような状況下において、2022年3月期の連結業績は、売上高3,600億円(2021年3月期比226億円増)、営業利益270億円(同3億円増)、経常利益220億円(同13億円増)、親会社株主に帰属する当期純利益115億円(同73億円増)を予想しています。

 

当社は、株主のみなさまへの利益還元を最重要事項の一つと認識しています。安定的な配当の継続を基本方針としつつ、持続性のある利益水準、将来投資のための内部留保、財務体質の改善などを総合的に勘案のうえ、総還元性向(※)30%を目安として、自己株式の取得を含めた株主還元を行うこととしています。

 

(※)総還元性向=(配当金支払総額+自己株式取得総額)/親会社株主に帰属する当期純利益

 

火災事故、品質に関する不適切な事案という事業基盤を揺るがしかねない事態が生じたことを受け、当社グループは深い反省のもと「信頼回復」を2021年度の最優先課題とし、経営方針に「持続的な成長に向けて、経営基盤を作り直す」を掲げ、改革に取り組んでまいります。

 

株主および投資家の皆様におかれましては、引き続きご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

2021年5月

東洋紡株式会社         
代表取締役社長 兼 社長執行役員