株主および投資家の皆様へ

 2023年度第3四半期連結累計期間(2023年4-12月期)の業績および通期業績見通しにつきまして、ご説明申し上げます。

 

 当第3四半期連結累計期間における当社グループを取り巻く事業環境は、米国では政策金利を据え置く中、堅調な個人消費が経済活動を下支えしましたが、中国では不動産不況の長期化や消費マインドの低迷により、景気停滞感が続きました。国内においては、自動車生産の回復やインバウンド需要の拡大により、景気は緩やかに回復しました。

 

 こうした事業環境のもと、液晶偏光子保護フィルム“コスモシャインSRF”、リチウムイオン電池セパレータ製造工程で使用されるVOC回収装置は、強い需要に牽引され販売を伸ばしました。一方、包装用フィルムは、需要の回復が遅れ流通在庫の調整が長引き、PCR検査用試薬は、コロナ禍からの正常化に伴い需要が大幅に減少しました。

 

 以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同期比86億円(2.9%)増の3,073億円となり、営業利益は同46億円(47.8%)減の50億円、経常利益は同45億円(65.5%)減の24億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同82億円(83.9%)減の16億円となりました。

 

 今後の事業環境につきましては、引き続き、世界的な金融引き締め政策の影響、中国経済の低迷、地政学的リスクの高まりなどが、景気回復に影響を及ぼすことが懸念されます。当社グループにおいては、TV用途の堅調な需要は見込まれるものの、包装用フィルム等の需要回復遅れによる収益への影響を踏まえ、2024年3月期の連結業績については、売上高4,100億円(2023年3月期比101億円増)、営業利益80億円(同21億円減)、経常利益50億円(同16億円減)、親会社株主に帰属する当期純利益10億円(同17億円増)と予想します。

 

 当社は、株主の皆さまへの利益還元を最重要事項の一つと認識しています。剰余金の配当に関しては、持続性のある利益水準、将来投資のための内部留保、財務体質の改善などを勘案しつつ、安定的な配当の継続を基本方針としております。2024年3月期の期末配当金につきましては、現時点の通期業績予想に基づき、前期と同様の1株当たり40円とする予定です。

 

 株主および投資家の皆様におかれましては、引き続きご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

2024年2月

東洋紡株式会社         
代表取締役社長 兼 社長執行役員