当社は、三井住友信託銀行株式会社との間で、国連環境計画・金融イニシアティブ(※1)が提唱したポジティブ・インパクト金融原則(※2)に則した「ポジティブ・インパクト・ファイナンス(資金使途を限定しない事業会社向け投融資タイプ)」の融資契約を締結いたしました。

目的と背景

 ポジティブ・インパクト・ファイナンスは、企業活動が環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブな影響とネガティブな影響)を包括的に分析・評価し、当該活動の継続的な支援を目的とした融資です。企業の活動、製品、サービスによるSDGs達成への貢献度合いを評価指標として活用し、開示情報に基づきモニタリングを行い、エンゲージメントを通じて活動を支援していくことが最大の特徴です。
 当社は、2022年5月に、今後の事業環境の変化を想定し、企業理念『順理則裕』(なすべきことをなし、ゆたかにする)を基軸として、当社グループの「2030年のありたい姿」と「サステナビリティ指標」および「アクションプラン」を示す、「サステナブル・ビジョン2030」を策定いたしました。
 当社はこの度、ポジティブ・インパクト・ファイナンスの評価を通じて、「サステナブル・ビジョン2030」で掲げた目標とその目標達成に向けた取組みが社会課題の解決に貢献できることを評価され、本契約の締結に至りました。今回掲げた施策を通じ、「サステナブル・グロースの実現」に向けて、真摯に取り組んでまいります。

取り組む内容・目標・KPI

テーマ

内容

目標と指標(KPI)

SDGs

従業員のウェルビーイング&サプライチェーンの人権

・安全・安心な労働環境と人々の安全の確保

 

・サプライチェーンにおける人権侵害防止、気候変動への対応

(a)安全・防災・品質の徹底

目標

ア.全ての現場でゼロ災害達成

イ.製品事故件数ゼロ達成

指標(KPI)

ア.重大災害数、火災・爆発件数、流出事故件数

イ.製品事故件数

 

(b)サプライチェーンを通じた、社会・環境面への配慮、

公正・誠実な取引、人権を尊重した調達・物流の実現

目標

・CSR調達アンケート(隔年実施)の回収率を90%以上に維持

・有所見取引先とのエンゲージメント100%を維持

指標(KPI)

・CSR調達アンケート(隔年実施)の回収率

・アンケートで判明した有所見取引先とのエンゲージメント実施状況

健康な生活&ヘルスケア

感染症疾患の減少、透析患者のQOL向上

(a)感染症分野へのソリューション提供
目標

2030年までに感染症診断薬等の提供による検査回数1,000万回/年
指標(KPI)
感染症診断薬等の提供による検査回数/年

 

(b)QOL向上や治療に不可欠な素材の提供
目標

2030年までに透析膜を提供する透析患者数25万人/年
指標(KPI)
透析膜を提供した透析患者数

スマートコミュニティ&快適な空間

デジタル社会実現への貢献

デジタル技術伸展に不可欠な製品材料や製造工程を支えるソリューションの提供
目標
2030年までにDXを支える商品群の販売量を2020年度比1.5倍
指標(KPI)
DXを支える商品群の販売量

脱炭素社会&循環型社会

事業活動を通じた脱炭素社会及び循環型社会の実現

(a)カーボンニュートラルの実現
目標

ア.GHG排出量(Scope1、2)を2030年度までに2020年度比で27.0%削減、2050年度までにネットゼロ
イ.GHG排出量(Scope3(カテゴリー1、11))を2030年度までに2020年度比で12.5%削減
指標(KPI)
ア.GHG排出量(Scope1、2)
イ.GHG排出量(Scope3(カテゴリー1、11))

 

(b)フィルム製品のグリーン化
目標

2030年までにフィルム事業におけるグリーン化比率を60%にする
指標(KPI)
フィルム事業におけるグリーン化比率

第三者意見

 本件の締結にあたり、株式会社日本格付研究所から評価に係る手続きについて、ポジティブ・インパクト金融原則への準拠性、評価指標の合理性に関して、第三者意見を取得しておりますので、ご参照ください。

株式会社日本格付研究所ホームページ

関連リリース

(※1) 国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI) 
国連環境計画(UNEP)は、1972年に「人間環境宣言」及び「環境国際行動計画」の実行機関として設立された国連の補助機関です。UNEP FIは、UNEPと200以上の世界の金融機関による広範で緊密なパートナーシップであり、1992年の設立以来、金融機関、政策・規制当局と協調し、経済的発展とESG(環境・社会・企業統治)への配慮を統合した金融システムへの転換を進めています。 

 

(※2) ポジティブ・インパクト金融原則 
UNEP FIが2017年1月に策定した、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた金融の枠組です。企業がSDGsの達成への貢献をKPIで開示し、銀行はそのプラスの影響を評価して資金提供を行うことにより、資金提供先企業によるプラスの影響の増大、マイナスの影響の低減の努力を導くものです。 融資を実行する銀行は、責任ある金融機関として、指標をモニタリングすることによって、インパクトが継続していることを確認します。